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アリババのOMO戦略はどのように始まったか|盒馬鮮生

【一言で言うと】オンラインとオフラインを融合させるOMO/ニューリテールのモデルをつくったアリババ系列のスーパーマーケットチェーン

基本情報

展開する国:中国
設立:2016年
店舗数:140店舗以上
ジャンル:スーパーマーケット
売上高:―

なにが特徴か

「盒馬鮮生(Hema Fresh、フーマーシェンション)」は①スーパーマーケット、②イートイン、③ネットショップ、④配送サービスの4要素を融合させた新業態。一定の条件を満たせば、注文して30分以内で商品が自宅へ配達されるところが人気を呼んでいる。

1. 店舗から3キロ圏内は30分以内の配送

「盒馬鮮生」は、アリババグループが提唱するニューリテール戦略を象徴する存在だ。もっとも第1号店はこの戦略が公表されるよりも一足早く、2016年1月に上海でオープンしている。2019年4月現在、中国各地に140以上の店舗を展開中。

これまでは中国の先進地域である沿海部の北京、上海、広州などが中心だったが、2019年7月には開発が遅れている西南地区での第一号店が雲南省昆明市にオープンした。アリババグループとしては、今後12年間で中国国内の100万人都市すべて(およそ200都市)にフーマー・フレッシュをオープンさせる予定だという。

最近の中国人が住居を探す条件には、「学校近(ちか)」「駅近」と並んで「盒馬近」(盒区房(フーチューファン)と呼ばれる)がある。「盒馬近」とは、「盒馬鮮生」の店舗から3キロ圏内のことだ。「盒馬鮮生」のネットショップは24時間いつでも注文可能で、3キロ圏内ならば午前8時から午後9時の間に注文したものが30分以内で配達される。店舗はEC倉庫としても機能しており、その為のロジスティクス設備を備えている。

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店内天井に配備された商品移送用設備

朝起きて注文すれば、ほどなくして朝食が届く。料理を作ろうとして醤油がないのに気が付いて注文すれば、食材を洗い終わった頃には醤油を持った配達員がやって来る。職場から帰る通勤電車の中で注文すれば、自分が家に着くよりも早く届いた夕食が待っている……。あまりの便利さに「盒馬鮮生」なしでは生きていけなくなる、ともいわれている。

2.実店舗はリテールテインメントの舞台

その反面、中国では食の安全を心配する人たちも少なくない。そういう人たちはやはり店舗に出掛けて、実物を目で確認したいと思うものだ。「盒馬鮮生」のスーパー部門は通常のスーパーの3分の1ほどの広さで、探すものは容易に見つかるようになっている。「日日新」というコーナーには、近隣の農家が前日の夜に収穫した野菜が並ぶ。

しかし実店舗の目玉は海鮮コーナー。上海など海産物が好まれる地域の「盒馬鮮生」では、生け簀が設置され、主に海外から空輸された魚介類が泳いでいる姿が見られる。それを眺めているだけで楽しめるが、腕に覚えがあれば自分で獲ることも可能だ。生簀から取り出した魚を調理してもらい、併設のイートインで食べるのもいい。

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新鮮な魚介類をその場で生簀から取り出す

「盒馬鮮生」の商品を買う際はアリババグループの「支付宝(アリペイ)」で決済するのが基本。アプリ経由で購買行動に至る様々なデータを取得し、マーケティングや在庫管理に活かしている。また、店内には現金で支払える無人レジも設けられており、アプリの利用法などがわからない顧客に対してもケアを行っている。そして、買ったものは自分で持って帰ってもいいし、重ければ配送を頼むこともできる

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無人レジではアプリで決済

3.アリババグループならではの強みを生かす

「盒馬鮮生」には、アリババのさまざまな強みが生かされている。例えば、海外からの海産物などの買い付けの際には、同じくアリババグループのネットショッピングモール「天猫(Tmall、ティエンマオ)」のルートで発注し、大量発注によって高品質ながら低価格を実現している。

どの店舗に何を並べるかも、「天猫」でのネット売り上げ実績のビッグデータを参考に決めている。それがスーパー部門の面積を通常のスーパーの3分の1に圧縮できる秘密だろう。また中国は一つの国といっても、地域による人々の好みの差は激しい。そのような多様性に柔軟に対応できるのも、アリババグループ全体としてのビッグデータ活用のおかげ。「盒馬鮮生」がアリババグループの提唱するニューリテール戦略を象徴する存在だというだけあって、グループ全体のノウハウを注ぎ込んでいるようだ。

Banner Photo by OMO Times

関連ニュース

注目されるアリババ集団「盒馬鮮生」の新小売り戦略(中国)|JETRO海外ビジネス情報
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/248b8a83cfc18f48.html

【アリババニューリテール戦略の全貌】第3回:盒馬鲜生(ファーマーションシェン)は4つの複合体O2Oスーパーマーケット|アリババ|GloTechTrends
https://glotechtrends.com/alibaba-new-retail-170906/

参考


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